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インドネシア人の民族別特徴|雇用時に知っておきたい違い

  • 小雨 趙
  • 7月2日
  • 読了時間: 10分

こんにちは、グローバークスのセナです。私はインドネシア出身で、日本在住8年目になります。以前のブログで「インドネシア人材の特徴と採用メリット」について説明しました。今回はそのテーマをもう少し掘り下げて、各民族ごとの特徴をご紹介させて頂きます。


1. インドネシアの基本情報【詳細な解説付き】

インドネシアは、日本企業にとって「人材」「市場」「パートナー」のすべてにおいて重要な国の一つです。以下では、採用やビジネスの前提として知っておきたいインドネシアの基本情報を、信頼性の高い統計データをもとに解説します。


正式国名:インドネシア共和国(Republik Indonesia)

インドネシア共和国は、東南アジアに位置する世界最大の島嶼国家です。17,000以上の島々から構成され、「多様性の中の統一(Bhinneka Tunggal Ika)」という国家理念のもと、異なる民族・宗教・文化が共存しています。



🗺️ 面積:約1,910,000㎢(日本の約5倍)

広大な領土を持ち、東西に約5,100km、南北に約1,800kmに広がっています。これは北海道から沖縄までの距離のおよそ4倍以上に相当し、地理的・文化的な多様性が非常に高いことを意味します。


👥 人口:約2億7,400万人(2025年予測/BPS Indonesia)

インドネシアは世界第4位の人口大国であり、ASEANの中でも圧倒的なスケールを誇ります。今後も人口増加が続くと見られており、消費市場・労働市場の両面で大きなポテンシャルを持っています。


🏙️ 首都:ジャカルタ(DKI Jakarta)

政治・経済・文化の中心であり、約1,000万人が住む東南アジア最大級のメガシティです。2024年以降、ボルネオ島の「ヌサンタラ(Nusantara)」への新首都移転も始まっていますが、ビジネス・外交の中心は引き続きジャカルタです。


2. インドネシアという国の全体像

指標

内容

面積

約191万㎢(日本の約5倍)

人口

約2億7,400万人(2025年/BPS推計)

首都

ジャカルタ

宗教

イスラム教(86.7%)、キリスト教(9.8%)、ヒンドゥー教(1.7%)、仏教ほか

民族数

1,340以上(最大はジャワ人:約40%)

公用語

インドネシア語(Bahasa Indonesia)

識字率

96.7%(2023/BPS)

若年層比率

約45%が15〜39歳(UNDP 2023)

出稼ぎ労働者数


約440万人(2023年時点/BP2MI)

出典


近年、日本企業の進出先として注目を集めるインドネシア。ASEAN最大の人口を誇り、若く活気ある労働力として期待されています。しかし、採用・雇用においては、日本とは異なる文化的背景を理解することが成功の鍵となります。今回はインドネシア人の国民性や特徴、ビジネスシーンでの注意点をわかりやすく解説します。


3. インドネシア人の特徴とは?

  1. フレンドリーで明るい性格

インドネシア人は親切で笑顔を絶やさず、初対面でもすぐに打ち解けることが特徴です。職場の雰囲気づくりにプラスになる反面、叱責や注意をする際には配慮が必要です。対面でのコミュニケーションを重視し、良好な関係を築くことが働きやすさに直結します。

2. コミュニティや家族を大切にする

家族や地域社会を非常に重視する文化があります。そのため、冠婚葬祭などの家族行事を優先したいと考える人も多く、有給休暇や柔軟な働き方を認める制度を整備すると、長期的に信頼関係が深まります。

3. 上下関係と礼儀正しさを重視

インドネシアでは年長者や上司に対する敬意が強く、礼儀正しく丁寧な振る舞いが基本です。日本企業に馴染みやすい反面、上司の意見に遠慮して本音を伝えないこともあります。自由に意見を出せる雰囲気作りが重要です。


4. インドネシア人の主な民族別の特徴とその要因・背景

インドネシアには1,340以上の民族が共存しています。中でも代表的な5つの民族をご紹介します。

民族名

特徴の要因・背景

ジャワ人(Suku Jawa)

- 人口最多(約40%)で政治・官僚機構を長く主導。- ヒンドゥー・仏教・イスラム文化が融合した歴史から「調和と精神性」を重視する傾向。- 「ハルス文化(halus culture)」=穏やかさ・間接表現・敬語表現を重視する文化的価値観が根強い。



スンダ人(Suku Sunda)

- 西ジャワ中心。イスラム教徒でありながら「柔和な気質」が文化として評価されている。- 音楽・芸能・農村共同体の文化が強く、他人との調和を重視する社会。- 「Cageur, bageur, bener, pinter, singer」(健康・善良・正直・賢明・器用)というスンダ人の理想的性格観がある。


バタック人(Suku Batak)

- 北スマトラ出身。家父長制・氏族制度(marga)に基づく明確な社会階層がある。- キリスト教徒が多く、教育・議論・自己表現に積極的。- 率直さ・正直さが美徳とされる伝統文化がある。


ダヤク人(Suku Dayak)

- ボルネオ島内陸部の少数民族。- 伝統的アニミズム、現在は多くがキリスト教徒。- 森林と共に生きる共同体文化が強く、土地・自然との結びつきが文化の核。- 血縁・地域共同体内での「守り合い」の価値観が強い。


ミナンカバウ人(Suku Minangkabau)

- スマトラ西部出身。世界最大の母系社会。- 男性は若いうちから旅立って商業活動に従事する「Merantau(出稼ぎ文化)」がある。- 経済的独立心が高く、教育とビジネスへの志向が強い。- 女性が不動産を継承し、家庭の決定権を持つケースも多い。



出典:


5. 採用・雇用時に注意すべき文化の違い

① 宗教への配慮(特にイスラム教)

背景と理由:

  • インドネシアは世界最大のイスラム人口(約2.3億人)を抱える国(世界全体の約13%)。

  • イスラム教の五行(Five Pillars of Islam)に基づき、「礼拝(Salat)」は1日5回義務。

  • 断食月(ラマダン)は、日中の飲食・水の摂取が禁じられる神聖な期間。

  • ハラル対応(豚肉・アルコールの回避など)は、信仰上の安心・信頼形成に直結。

出典:

  • Pew Research Center: The Future of World Religions (2017)

  • Indonesian Ministry of Religious Affairs(Kementerian Agama RI)

  • BPJS Ketenagakerjaan (Indonesian Workers Welfare Agency)

  • UNESCO – Cultural Diversity in the Workplace (2019)


② 時間感覚の違い

背景と理由:

  • インドネシアは「ポリクロニック文化(Polychronic Culture)」:複数のタスクを同時に進め、時間に柔軟。

  • 「ジャム・カレタ(jam karet)」=「ゴムの時間」という言葉もあり、予定は状況によって前後する。

  • 一方で、日本的な「モノクロニック文化」(時間厳守)が求められる職場に適応するには、丁寧な教育が必要。

出典:

  • Edward T. Hall: The Silent Language(1959年)

  • Hofstede Insights – Cultural Dimensions of Indonesia and Japan

  • JICA(国際協力機構)による外国人技能実習生向けオリエンテーション資料

  • Tempo Magazine: Jam Karet dalam Budaya Indonesia(2021)


③ 明確な指示と頻繁なフィードバック

背景と理由:

  • インドネシアの教育スタイルは教師中心型(Teacher-Centered)が主流で、上司の指示をそのまま従う傾向が強い。

  • 日本のような「空気を読む」「察する文化」は共有されていないため、曖昧な表現は誤解を生む可能性が高い。

  • 定期的な声かけ・評価・感謝のフィードバックが、モチベーション維持と定着率向上に効果的。

出典:

  • World Bank Report on Education in Indonesia (2022)

  • Intercultural Press: Managing Across Cultures by Solomon & Schell

  • GlobarX 現地実習生指導マニュアル(独自調査事例)


④ 採用活動で効果的なデジタルアプローチ

背景と理由:

  • インドネシアはASEAN内でもっともSNS利用が活発な国の一つ。

  • SNS利用者数:約1.7億人(2024年時点)、スマートフォン普及率は約80%超。

  • 若年層(15〜35歳)は特にInstagram・TikTok・Facebookに強く反応し、仕事探しにもSNSを活用。

  • 視覚的情報(動画・写真)での企業紹介が「信頼」「共感」「応募動機」に直結する。

出典:

  • We Are Social & Hootsuite: Digital 2024: Indonesia

  • Kominfo.go.id(Kementerian Komunikasi dan Informatika Indonesia)

  • Katadata Insight Center: Indonesia Internet User Profile Report 2023

  • Facebook for Business Indonesia / TikTok for Business Reports


6. 民族別の性格傾向と雇用対応(主要5民族)

民族名

人口構成比

主な地域

性格傾向

雇用のコツ

ジャワ人

約40%

ジャワ島中・東部


温和・協調性・規律を重んじる

指示は具体的に。曖昧な表現や遠回しな命令は避ける。

スンダ人

約15%

ジャワ島西部

優しく柔軟。笑顔が多く人当たりが良い

雰囲気重視。叱責より褒めるアプローチが有効。

バタック人

約3%

スマトラ北部

率直で合理的。主張が強く自信家が多い

合理的な説明を重視。役割の明確化で信頼が生まれる。

ミナンカバウ人

約2.7%

スマトラ西部

商才あり・独立心が強い

指示よりも対話重視。タスクの自由度を活かす。

ダヤク人

約1%以下

カリマンタン島

自然と共存、誠実で控えめ

地域文化を尊重。伝統儀式や宗教への理解を持つ。

出典:UNESCO Cultural Atlas / Puslitbang Kebudayaan Indonesia / Kemendikbud 2023


7. まとめ

これらの要素は、表面的な国民性理解を超えて、インドネシア人材と長く信頼関係を築くために必要な根本的な文化知識です。採用成功・定着率の向上には、こうした細やかな対応が「効く」場面が多く、競合他社との差別化にもつながります。

インドネシア人材の採用・雇用成功の秘訣は、文化への理解とコミュニケーションの工夫にあります。相手の国民性や宗教への配慮を行い、明確で柔軟な職場環境を作ることが重要です。

これらを意識し、日本企業とインドネシア人材が互いの魅力を引き出し合える関係を構築しましょう。


インドネシア人を受け入れたい企業様へ

インドネシア人は温厚で協調性が高く、フレンドリーな性格を持ち、職場の雰囲気を明るくしてくれる存在です。また、勤勉で真面目な姿勢を持ち、チームでの業務にも柔軟に対応できます。宗教的・文化的な多様性の中で育っているため、異なる価値観を尊重しながら働く力に長けています。

インドネシア人を採用することで、企業の多様性が広がり、新たな発想や国際的な視点が加わります。特にホスピタリティ業界や介護、製造業、農業など、チームワークが求められる現場において、インドネシア人材は非常に心強い戦力となります。彼らの前向きな姿勢や学ぶ意欲が、企業の成長に貢献してくれることでしょう。

インドネシア国内ではこんな方がいます!日本語OK! 

★ 日本語能力試験N4〜N3レベルを持ち、日本語での基本的な会話が可能な方

★ 外食・介護・農業などの特定技能資格を持つ実務経験者 

★ 技術系(IT、機械、建設等)の専門知識を持ち、日本での就業を希望する方 

★ 日本に留学経験があり、日本の文化や職場環境に理解のある方


インドネシア人を含む外国人人材の採用をご検討中の企業様、お気軽にお問い合わせください。



~弊社のサポート内容~

株式会社グローバークスでは、以下のサポートを通じて、特定技能者の受け入れとその後の定着を全面的に支援します。


●書類準備と手続き代行:ビザ申請や労働契約など、必要な手続きを迅速に行います。

●入国後の生活サポート:住宅の手配や生活面でのフォローを行い、特定技能者が日本の環境に早く馴染むようサポートします。

●定期的なフォローアップ:定期的に面談を実施し、特定技能者が安心して働けるようにサポートを続けます。

●8カ国語対応:日本語、英語、中国語、ベトナム語、シンハラ語(スリランカ)、ビルマ語(ミャンマー)、タガログ語(フィリピン)、インドネシア語で対応いたします。


外国人労働者が日本で活躍できる環境づくりを目指し、人手不足の解消と企業の成長に向けて、心を込めてサポートさせていただきます。貴社のニーズに合わせた最適な人材のご紹介ができるよう、全力でお手伝いさせていただきます。

もし、ご質問やご相談がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。


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■ この記事を書いた人

ロフビグ アディ セナ

株式会社グローバークスのリクルーティングアドバイザー、インザ カイン ティン氏が日本の着物を着用している写真。

インドネシア出身、千葉県在住。介護福祉士/日本語能力試験1級中学時代より日本語に興味があり、独学しながら日本に行く夢を持つ。2017年にインドネシアの看護大学を卒業した後、2018年留学生として来日。石川県の日本語学校にて1年間勉強したのち、介護専門学校に進学し、介護福祉士国家資格を取得。その後、介護士として4年間勤務。介護現場での経験と語学力を活かして外国人労働者をサポートしたいという思いから2025年グローバークスに入社。




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