北京出張記|中国若年層の就職難から見える構造的課題と日中人材連携の可能性
- 小雨 趙
- 9月26日
- 読了時間: 5分
更新日:9月27日
こんにちは!グローバークス代表の森永です。9月2日〜7日の6日間、北京へ出張してまいりました。
きっかけは、中国の国営放送局であるCCTV(中国中央テレビ)からご招待をいただき、企業家特番の選定会に参加するためでした。

弊社がREDやBilibiliなどの中国SNSを通じて「日本就職」関連の情報を中国で発信していることが注目され、「社会的意義のある取り組み」として評価いただいたことがきっかけです。CCTVでは、弊社事業内容や創業のきっかけについてキャスターからインタビューを受け、中国語で回答させていただきました。

しかし、今回の出張の最大の目的は、現地の大学との交流を通して、中国の若年層の就職状況を直接見聞きし、リアルな経済動向を掴むことでした。

北京の一流大学との連携と、次世代への展望
今回の滞在では、北京大学、北京外国語大学、北京科技大学、北京語言大学、対外経済貿易大学など、5校の名門大学を訪問し、日本語学科の先生や就職支援担当者と打ち合わせを行いました。久しぶりの中国語でのプレゼンで緊張しましたが、日本就職に関する連携を深めていく方向性でまとまりました。

その中でも、理系分野に強みを持つ北京科技大学とは、外国語学院と協力しながら、日本就職を見据えたキャリア支援体制のパートナーシップ契約の締結を進めています。
さらに、同大学は2025年以降は「日本語+AI」など複合スキルを持つ次世代人材の育成にも注力する方針で、産学連携を通じた長期的な人材供給モデルの確立を目指しています。

就職氷河期に直面する中国のZ世代
今回、現地学生、教授、キャリアセンターの方々と多くの意見交換を行いましたが、その中で最も印象的だったのは、想像以上に厳しい若年層の就職状況でした。
たとえば、2025年に卒業を迎える中国の大学生は過去最多の1222万人(前年比+43万人)に達する見込みです。

これは4年連続で1000万人を超える驚異的な数値であり、まさに供給過多の状況にあります。
中国国内大手人材企業・前程無憂(51job)が発表した《キャンパスリクルート白書2025》によると、「文系・商系の学生は“人が多すぎる”、一方で製造・半導体・新エネルギー分野では“人が足りない”」というミスマッチの深刻化が浮き彫りになっています。
まさに、一過性の需要と供給の問題ではなく、構造的な問題へと移行していると感じました。
参考:新民晚报
日本の社会システムが持つ、もう一つの価値
実際に、日本の若年層(15~24歳)の完全失業率は約2.60%(2024年ILO推計)と、OECD加盟国の中でも最も低い水準であり、社会として「若者に雇用の場を提供できている」構造が整っています。
一方、中国の同世代の失業率は4.67%(2024年ILO推計)であり、日本よりもやや高い状況となっています。
また、中国には「新卒一括採用」という雇用慣行が存在せず、卒業後すぐに就職できなかった場合、再挑戦の機会が限られる傾向があります。これが、若年層の就職難をより深刻にしている要因の一つであると考えられます。

埋もれている優秀な人材の活用
滞在中、弊社の留学生向け就職支援サービスである「思高就職塾」への入塾希望者と面談しました。すでに中国で社会人として働いている方が「日本での安定した転職」を希望している姿に触れ、「日本で働きたい人」は、いまだに多く存在することを改めて実感しました。
しかし、そうした人々の多くは、日本国内の採用チャネルにアクセスできず、優秀でありながら埋もれてしまっているのが現実です。
彼らは家族を支えながらキャリアアップを目指しており、定着意欲や真面目さ、安定志向という点で、長期的な就業が見込まれ、人手不足に苦しむ日本企業にとって大きな戦力となりえます。
今後に向けて:日本企業と中国人材の新しい接点を
今回の出張を通じて、弊社は現地の一流大学との協力体制を築き、優秀な若手人材を安定的にご紹介できる「信頼性の高い人材プール」を構築しつつあります。
今後も、現地の教育機関と連携しながら、「AI×語学」など新たな人材像の育成にも取り組んでまいります。

~弊社のサポート内容~
企業様に向け、豊富なデータベースから人材のご紹介、ビザ申請・生活支援・定期フォローアップなどをワンストップで支援いたします。
英語・中国語・ベトナム語・ビルマ語・シンハラ語・タガログ語、インドネシア語の7カ国語対応が可能です。
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■ この記事を書いた人
株式会社グローバークス 代表取締役
森永 健太

新卒で川崎重工業(株)に入社後、海外営業および新卒採用リクルーター業務に従事。優秀な外国人の同僚の活躍を目の当たりにする中で、日本の良い製品・サービス・文化を世界に広めるには外国人材の活躍が不可欠であると実感。「外国人財の活躍促進による日本社会の活性化」を通じて、日本企業の国際競争力の向上、労働力不足の解消に貢献したいという思いから、株式会社グローバークスを設立。 中国語および英語対応可(HSK6級、TOEIC905)
慶應義塾大学大学院修了(経営学修士) / 中小企業診断士




