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外国人雇用労務士ってどんな資格?|中小企業診断士が受験してみた|診断士との意外な共通点と有用性

  • 小雨 趙
  • 4 日前
  • 読了時間: 6分

更新日:2 日前

こんにちは!グローバークス代表の森永です。

突然ですが、「外国人雇用労務士」という資格をご存知でしょうか?


外国人雇用労務士(通称:外労士/ガイロウシ)とは、「一般社団法人全国外国人雇用推進機構」が認定する、外国人採用・定着に必要な幅広い知識を証明できる民間資格です。2022年に誕生した比較的新しい資格なので、外国人と関わりの薄い業界の方々には馴染みがないかも知れません。しかし、日本における外国人労働者の増加を背景に受験者数は年々増加しており、認知と注目が高まっている資格です。

2025年5月25日、私はその外労士試験を受験し、無事に合格することができました。日本における外国人労働者は過去最多の230万人を超え、外国人雇用に関する知識の必要性は今後も高まり続けると思います。今回は、資格の概要と受験後の感想を中小企業診断士(経営コンサルタントの国家資格)の視点でレポートさせていただきます!


受験の動機

私は約7年ほど外国人の就職支援に携わっており、外国人の就職事情、制度、在留資格等に関しては一通りの知識を持っていました。かねてより外労士の名前は知っていましたが、業務が多忙だったこと、資格なしでも登録支援機関としての業務に影響がなかったことから、外労士試験を検討することはありませんでした。

しかし昨年4月に弊社でも外国人正社員を雇用し始めて以降、雇用者の立場として外国人雇用の知識の必要性を感じるようになりました。現在6カ国6名の外国人社員を雇用していますが、行政書士と連携しながら社員の在留資格更新を行ったり、社労士と連携しながら給与計算、社会保険手続き、年末調整等を行うことがあります。その際に、知らず知らずのうちに不法就労助長罪に陥らないためにも、雇用主としてしっかりと在留資格や入管法の知識を熟知しておく必要があると考えるようになりました。


実務の中で経験したことはどうしても断面的な知識になってしまいがちなため、一度網羅的・体系的に知識を整理したいという目的で受験してみることにしました。


資格概要

▪️実施時期:年2回(5月、11月)

▪️受験形式:オンライン試験(IBT方式)自宅などから受験可能

▪️試験形式:試験時間120分 全80問(全て四肢一択の選択方式)

▪️受験費用:8,900円(税込)教材付きの場合は12,000円(税込) 

▪️試験範囲:外国人雇用労務士 「公認テキストブック」より

  1. 外国人雇用総論

  2. 外国人労働者の人権

  3. 外国人労働者の採用と入管法

  4. 外国人労働者の労務・法務

  5. 人事制度と人事管理

▪️合格率:60%前後

▪️必要学習時間:推定20〜30時間。公認テキストブックを2周すれば合格ラインに到達すると思われる。

公認テキストブック
公認テキストブック

感想

・出題範囲が広い

深く細かい論点ではないものの、外国人雇用に関する包括的な知識が求められます。そのため、実務でこの分野に関わりのない方にはイメージが湧きにくく、少し難しく感じる場合もあると思います。しかし、広く浅く様々なことを学びたい方にとっては楽しみながら学習できるのではないかと思います。

 

・問題文が長い

出題形式は四肢択一の選択式ですが、選択肢の文章が比較的長いため、時間配分に注意が必要です。

120分間で80問ですので、単純計算で1問あたり90秒で回答する必要があります。私の場合は、前半の問題にじっくり取り組みすぎて、後半に時間が不足して時間ギリギリでなんとか完答する形になってしまいました。


・知識の整理に役立った

これまでは実務を通じて経験と紐付けて断片的に覚えていた知識を網羅的・体系的に俯瞰して整理することができました。日本における外国人就労者は過去最高の230万人を超え、今後は外国人の就労者が増えていくことは間違いないと思います。そのため、外国人材採用ニーズの増加を見越し、企業の人事担当者、経営コンサルタント、経営者、人材紹介エージェントなど、幅広い方々にとって有益な内容だと思います。


中小企業診断士との類似点

中小企業診断士の試験内容と重複する分野もありました。例えば、人事制度(等級制度、評価制度、報酬制度)、労基法、社会保険制度、組織論などです。


私は中小企業診断士として、会社経営者の方々とお話をする機会も多くあります。その中で外国人雇用の相談は年々増えてきていると実感しており、今後も間違いなく増えていくと思います。雇用に関する書類作成や公的手続きは社労士や行政書士などの専門家にお任せするとしても、専門家につなげる前に、コンサルタント側で経営者様の状況や要望を整理しておくことが必要です。


特に窓口経営相談などは時間が限られた中で行いますので、診断士側が外国人雇用の基礎知識を持っているとより濃い内容の話し合いができますし、そういった面で「外労士」としての知識はとても役立つと思います。


その他、社会保険労務士、行政書士の先生方の業務内容とも相性が良いと思います。「社労士×外労士」、「行政書士×外労士」のような組み合わせでも、専門性の方向を示す一つのタグとして機能するかもしれません。


合格率60%程度で比較的チャレンジしやすいため、行政書士、社労士、その他国家資格を目指す前の入門資格としても取り組んでみるのも良いかもしれません。


留意点

外労士は民間資格であり、法的な独占業務はなく、行政書士や社労士のように「資格があるから仕事を請け負える」わけではありません。また、外労士を持っているからといって高い評価を得られるわけでもないと思います。

つまり、“独立開業”や“キャリアアップ”のためというよりも「自分の知識を体系的に整理する」「現場での実務能力を高める」という目的に合った資格だと思います。

ご自身の現在の立場や課題に照らし合わせて、「自身の業務に必要な知識かどうか?」を見極めたうえでの検討をお勧めします!

次回試験情報&申込リンク

【第7回 外国人雇用労務士 試験概要】

  • 試験日:2025年11月23日(日)10:00〜

  • 申込期間:2025年6月1日(日)〜11月22日(土)

  • 試験方式:IBT(自宅等でのオンライン受験)

テキストや動画講義は試験前にオンラインで視聴可能です。


~弊社のサポート内容~

企業様に向け、豊富なデータベースから人材のご紹介、ビザ申請・生活支援・定期フォローアップなどをワンストップで支援いたします。

英語・中国語・ベトナム語・ビルマ語・シンハラ語・タガログ語、インドネシア語の7カ国語対応が可能です。

外国人材が日本で安心して働ける環境づくりを目指し、求職者・企業の双方に寄り添った支援を行っております。

ご質問やご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。



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■ この記事を書いた人

株式会社グローバークス 代表取締役 

森永 健太

株式会社グローバークスのChief Marketing Officerである趙小雨氏が船上で撮影した写真。

新卒で川崎重工業(株)に入社後、海外営業および新卒採用リクルーター業務に従事。優秀な外国人の同僚の活躍を目の当たりにする中で、日本の良い製品・サービス・文化を世界に広めるには外国人材の活躍が不可欠であると実感。「外国人財の活躍促進による日本社会の活性化」を通じて、日本企業の国際競争力の向上、労働力不足の解消に貢献したいという思いから、株式会社グローバークスを設立。 中国語および英語対応可(HSK6級、TOEIC905)

慶應義塾大学大学院修了(経営学修士) / 中小企業診断士 


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