シンチャオ(こんにちは)!グローバークス代表の森永です。
2024年7月15日~22日、ベトナム社会主義共和国へ出張いたしました。今回は首都ハノイに滞在し、稼働日4日間で計11か所、送り出し機関5社、教育センター4か所、大学1校、IT企業1社を訪問させていただきました。現地で見た労働者の現状や増加の背景を詳しくお伝えします。
現在、日本で働く約200万人の外国人のうち、ベトナム人は最多の約51万人で、1/4以上を占めています。こ「ベトナム労働者の急増と現地レポート」ではその現状と背景を深く掘り下げます。最も身近な外国人労働者であるベトナム人への理解促進に本記事がお役立ちできれば幸いです。
◆送り出し機関の教育センター
教育センターでは、技能実習生、特定技能、技人国(高度人材)として日本での就職を目指す若者が寮生活をともにし、日本語を学びながら日本企業の採用面接の準備を行っていました。
現地の工業大学も訪問いたしました。一部の送り出し機関は大学とも提携し、理系人材の確保、日本への送り出しに取り組んでいます。
弊社は特定技能人材、技人国のエンジニア人材を中心にベトナム在住者を日本企業様へご紹介しています。今回の訪問では、弊社からのご紹介で内定した内定者2名にもお会いできました。
◆ある技能実習生の事例
ベトナムの平均月収は約4万円です。円安かつベトナムの賃金水準が上がっているとはいえ、技能実習生、特定技能人材にとっては日本の賃金はまだまだ魅力的です。
現地でお会いした元技能実習生のレーさん(26歳女性)は、6年間の日本勤務(技能実習3年→特定活動1年→特定技能2年)で約400万円を貯金できたそうです。
さらに帰国後にN1(日本語検定1級)も取得し、現在は高い日本語能力を生かしてハノイの送り出し機関で働いています。生まれた家庭は決して裕福ではなかったようですが、18歳で日本へ渡り、24歳の帰国時には400万円の貯金(現地の平均年収の8年分)とN1レベルの日本語力を手にすることができたため、日本での就労を通じて彼女の人生は大きく変わったようです。
勤務地だった長野県と鹿児島県では若者が少なく、同僚や近隣住民からは可愛がってもらえたとのことで、日本での生活は良き思い出になっているそうです。
レーさんのように、日本での就労経験者が帰国後に送り出し機関や現地の日系企業で勤務するパターンは多いです。日本での生活で身につけた日本語能力を活かし、日本とベトナムを繋ぐ架け橋になってくれているため、弊社のような日本企業にとっては非常にありがたい存在です。
ニュースの特性上、技能実習生に関してはネガティブな話題が取り上げられがちですが、このような好事例を聞くことができて嬉しく思いました。
◆ITエンジニアの採用難
日本の賃金水準はまだまだ魅力があると申し上げましたが、ITエンジニアに関しては少々事情が異なります。
弊社は日本のIT企業様からベトナム人ITエンジニアの紹介を依頼いただくことが多くございますが、近ごろはベトナム人エンジニアからの応募を集めることが難しくなっていると感じます。その背景について、現地のIT企業と複数の送り出し機関にヒアリングを行いました。
その結果、ベトナム人ITエンジニアを採用しにくくなった理由は主に以下の3点に集約されると思いました。
1)日本との賃金格差の縮小
ベトナムのITエンジニアの給与水準は上昇しています。ITエンジニアとしての数年間の経験があれば、ベトナムで働いても月収30万円程度は一般的に稼げるようです。大手企業勤務の場合、35歳で月収50万円という実例もお聞きしました。このような状況から、わざわざ日本へ行って働く金銭的インセンティブが低くなってしまうようです。
2)日本語習得が難しい
ベトナム人にとって日本語は難しく、学習コストが高いです。文字、文法、発音など異なる点が多く、特に漢字の習得にはかなりの時間がかかるようです。一方、欧米やシンガポールでの勤務であれば英語が話せれば良く、給与水準も日本より高いため、日本語学習を避けてそれらの国へ行ってしまうエンジニアも多いようです。
3)ベトナムにいても海外の仕事を受けることができる
ITエンジニアという職種の特性上、遠隔地の仕事も受けることができます。そのため、わざわざ物理的に日本へ行かなくても、日本をはじめ世界中の仕事を受けることができます。家族を大切にするベトナム人にとっては家族が近くにいる方が良いと考え、ベトナムで働くことを選ぶ方が多いようです。
一方、職務経験の無い未経験のエンジニア(情報系学部出身の新卒者など)に関しては、日本企業にとっても採用の余地は大いにあるようです。ベトナムで働く未経験ITエンジニアの月給は8万円程度とのことで、日本へ行く金銭的なメリットがあるためです。
また、ベトナム人候補者の中には、日本文化に強い興味があり、純粋に日本に住んでみたいという方も一定数存在するため、そのような候補者に関しては、たとえ賃金水準が大差ない場合であっても、日本での就業を目指すケースもございます。
◆所感|ベトナム労働者の急増と現地レポート
ベトナムの総人口は1億人を突破し、平均年齢も31歳(日本は48歳)と若く、非常に勢いを感じる国でした。ベトナムの賃金水準の上昇と円安により、日本で働くことの金銭的魅力が低下していることは事実です。
しかしながら、技能実習生や特定技能人材に関してはまだまだ賃金的魅力があること、日本という国のイメージの良さ(治安が良い、衛生的、文化が魅力的等)から日本での就職を望むベトナム人は依然として多いです。
弊社は外国人材専門の人材紹介会社兼登録支援機関として、これからもベトナム人材をはじめ外国人材のご紹介により、日本企業の労働力不足の解消、国際競争力の向上に貢献して参ります。
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★ 留学生で日本語の学校卒業、日本語を学んで日本語ビジネスレベル話せる方
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■ この記事を書いた人
株式会社グローバークス 代表取締役
森永 健太
新卒で川崎重工業(株)に入社後、海外営業および新卒採用リクルーター業務に従事。優秀な外国人の同僚の活躍を目の当たりにする中で、日本の良い製品・サービス・文化を世界に広めるには外国人材の活躍が不可欠であると実感。「外国人財の活躍促進による日本社会の活性化」を通じて、日本企業の国際競争力の向上、労働力不足の解消に貢献したいという思いから、株式会社グローバークスを設立。
慶應義塾大学大学院修了(経営学修士) / 中小企業診断士