技能実習制度の新制度「育成就労制度」とは?変更点・企業対応・特定技能との違いを解説
- 6月11日
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技能実習制度の新制度「育成就労制度」の概要や、技能実習制度が廃止・見直しされる理由をわかりやすく解説します。育成就労制度と特定技能制度の違い、転籍制度、日本語要件、企業側に求められる対応まで整理し、2027年施行へ向けた外国人採用の準備ポイントを紹介します。
技能実習制度は、これまで多くの業界で外国人材受入制度として活用されてきました。しかし近年では、人手不足への依存や人権問題、失踪問題などさまざまな課題が指摘され、制度の見直しが進められています。そこで新たに創設されるのが「育成就労制度」です。育成就労制度では、特定技能1号への移行を前提とし、転籍制度や日本語能力要件の導入など、大きな変更が予定されています。そのため、外国人材を受け入れる企業側にも、教育体制や労務管理の見直しが求められるでしょう。
本記事では、技能実習制度が廃止・見直しされる理由や、育成就労制度との違い、企業が今から準備すべきポイントについてわかりやすく解説します。外国人採用の今後を考える際の参考にしてみてください。

技能実習制度の新制度「育成就労制度」とは
育成就労制度とは、従来の技能実習制度を発展的に解消し、新たに創設される外国人材受入制度です。これまでの技能実習制度は「国際貢献」を目的としていましたが、育成就労制度では「人材育成」と「人材確保」を重視している点が特徴といえます。2027年4月の施行が予定されており、特定技能1号への移行を前提とした制度設計へ見直されました。
また、一定条件下で転籍(転職)が認められるほか、日本語能力要件や技能評価試験も導入されます。外国人材の権利保護やキャリア形成を重視した内容へ変更されており、受入企業には適切な労務管理や育成計画の整備が求められるでしょう。

技能実習制度が廃止・見直しされる理由
技能実習制度は、人手不足や人権問題、低賃金労働など多くの課題が指摘され、制度見直しの議論が進められてきました。育成就労制度への移行背景を理解するためにも、廃止・見直しの理由を把握することが重要です。ここでは、技能実習制度が廃止・見直しされる理由について解説します。
技能実習制度と実態に乖離があったため
技能実習制度は、本来「日本で培った技能を開発途上国へ移転し、国際貢献を行うこと」を目的として創設された制度です。しかし実際には、人手不足を補うための労働力確保として活用される場面が増え、制度目的と現場実態の乖離が大きな課題となっていました。特に、建設業・農業・食品製造業・介護分野では、慢性的な人材不足を背景に、実習生が単純作業へ従事する事例も多く見られます。
さらに、「技能習得」を目的としているにもかかわらず、十分な教育体制を整えていない企業も存在し、同じ作業を繰り返すだけで実習期間が終わるケースも指摘されました。その結果、「実態としては外国人労働者の受入制度になっている」との批判が強まり、制度見直しの議論が本格化しています。育成就労制度では、人材育成と人材確保を制度目的として明確化し、実態に即した制度設計へ転換する方向で検討が進められています。
人権問題や失踪問題が社会問題化したため
技能実習制度では、長時間労働や賃金未払い、暴力・ハラスメント、不適切な労務管理など、人権侵害につながる問題が以前から指摘されていました。特に、転職が原則認められていなかったため、劣悪な環境でも実習先を自由に変更できず、実習生が孤立しやすい構造に懸念が集まっていたのです。相談先がわからないまま失踪し、職場から離脱するケースも発生しており、制度全体への信頼低下にもつながっていました。
さらに、監理団体や受入企業による管理不足、不十分な日本語支援なども課題として挙げられています。こうした状況を受け、政府の有識者会議でも「実習生保護の強化」が重要課題として議論されるようになりました。育成就労制度では、一定条件下での転籍を認める方向へ見直しが進み、日本語支援や相談体制の強化も予定されています。外国人材を単なる労働力として扱うのではなく、安心して働ける環境整備が求められる段階に入っています。
低賃金労働の温床との指摘があったため
技能実習制度では、「安価な労働力確保に利用されているのではないか」という批判も強くありました。実際には、日本人が集まりにくい業種や地方企業を中心に、技能実習生へ依存した雇用構造が形成されていたケースも少なくありません。最低賃金に近い給与水準や長時間労働を前提とした働き方が問題視され、「国際貢献制度の名目で低賃金労働を支えている」との指摘も国内外から出ていました。
また、転籍制限によって労働市場での選択肢が狭まり、実習生側が不利な立場になりやすかった点も課題とされています。そのため、有識者会議では「労働者保護」や「適正な賃金・労働環境の確保」が重要論点として議論されました。新たな育成就労制度では、特定技能制度との接続を前提に、キャリア形成や技能向上を重視した制度へ転換する予定です。単なる労働力確保ではなく、長期的な人材育成制度として整備する方向で見直しが進められています。
国際的な批判や制度改善要求が強まったため
技能実習制度をめぐっては、海外メディアや国際機関からも厳しい指摘が続いていました。特に、「技能移転」を掲げながら、実態は労働力確保になっている点や、実習生の人権保護が不十分である点について、制度改善を求める声が強まっていたのです。失踪問題や長時間労働、不当な賃金控除なども報道され、日本の外国人受入制度そのものへの信頼低下を懸念する声が広がっていました。
さらに、外国人材の獲得競争が国際的に激化する中、日本が「選ばれる国」であり続けるには、労働環境や支援体制の改善が不可欠と考えられるようになりました。そのため政府は、技能実習制度を廃止し、新たに育成就労制度を創設する方針を打ち出しています。今後は、日本語教育やキャリア形成支援、適正な転籍制度などを整備し、外国人材が安心して働き続けられる環境づくりの強化が求められています。

技能実習制度と育成就労制度の違い
技能実習制度と育成就労制度は、制度目的や仕組みに違いがあります。育成就労制度では、人材育成と人材確保を重視した制度設計へ見直される予定です。
主な違いは以下のとおりです。
項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
制度目的 | 国際貢献・技能移転 | 人材育成・人材確保 |
在留期間 | 最長5年 | 原則3年 |
転籍(転職) | 原則不可 | 一定条件で可能 |
日本語要件 | 明確な基準は限定的 | 一定の日本語能力が必要 |
特定技能への移行 | 一部分野のみ | 移行を前提とした制度設計 |
制度開始時期 | 現行制度 | 2027年4月施行予定 |
特に、転籍が一定条件で認められる点や、日本語能力要件が設けられる点は大きな変更点です。受入企業には、教育体制や労務管理の強化も求められます。
育成就労制度で変わる主なポイント
育成就労制度では、転籍制度の導入や日本語要件の強化など、従来の技能実習制度から大きく見直される点があります。受入企業側にも新たな対応が求められるため、制度変更の内容を正しく理解することが重要です。ここでは、育成就労制度で変わる主なポイントについて解説します。
一定条件で本人意向の転籍が可能になる
育成就労制度では、従来の技能実習制度と異なり、一定条件を満たした場合に外国人本人の意思による転籍(転職)が認められる予定です。これまでの技能実習制度では、原則として同じ受入企業で実習を続ける必要があり、労働環境へ不満があっても職場を変更しにくい点が課題とされてきました。新制度では、一定期間の就労や技能・日本語能力に関する基準を満たした場合、本人希望による転籍を認める方向で制度設計が進められています。分野によっては、1〜2年程度の就労継続が必要になる可能性も示されています。
また、転籍先企業にも適切な受入体制が求められるため、どの企業でも自由に受け入れられるわけではありません。企業側には、人材流出リスクへの対応として、給与水準や労働環境、教育体制の見直しがこれまで以上に重要になると考えられます。
受入企業側にも厳格な要件が求められる
育成就労制度では、外国人材を受け入れる企業側にも、従来以上に厳格な基準が求められる見込みです。技能実習制度では、一部企業による長時間労働や不十分な安全管理などが問題視されてきました。そのため、新制度では「適切な育成環境を継続的に提供できる企業か」が重視される方向で制度設計が進められています。
具体的には、適切な賃金水準や労働法令遵守だけでなく、教育計画の作成状況や相談対応体制、日本語学習支援なども確認対象になる見込みです。また、外国人材のキャリア形成を支援できるかどうかも重要視されると考えられています。今後は、受入人数だけでなく、継続的な育成体制の質が企業評価へ直結する制度へ変わっていくでしょう。
日本語教育や支援体制が重要になる
育成就労制度では、日本語能力要件が強化される方向となっており、受入企業による日本語教育支援の重要性も高まっています。制度案では、入国時に一定水準の日本語能力を求める方向で議論されており、日本語能力試験N5相当や講習受講などが条件として検討されています。また、特定技能1号へ移行する際には、日本語能力試験N4相当レベルや技能試験への対応も必要になる見込みです。
さらに、企業側には継続的な教育体制の整備が求められると考えられています。単に業務を教えるだけでなく、日本語学習支援や生活相談、地域生活へのサポートも重要になるでしょう。外国人材が安心して長く働ける環境を整えられるかどうかが、今後の人材定着率や採用競争力へ大きく影響すると考えられます。
分野ごとに受入可能人数が管理される
育成就労制度では、受入可能人数についても分野ごとに管理される予定です。従来の技能実習制度では、多くの職種や作業区分が設けられていましたが、新制度では特定技能制度と連動した分野へ整理される方向で進められています。そのため、分野ごとの人材需要や地域バランスを踏まえながら、受入人数を調整する仕組みになる見込みです。
また、都市部への人材集中を防ぐ観点から、地域ごとの受入状況へ配慮する制度設計も検討されています。転籍制度の導入によって、待遇の良い都市部へ外国人材が流出する懸念も指摘されているため、地方企業の人材確保を支援する仕組みづくりも議論されています。企業側には、「必要な時に自由に採用できる制度」と考えるのではなく、国の受入方針や分野別人数枠を踏まえた採用戦略が求められるでしょう。
不適切な受入企業は排除強化される
育成就労制度では、外国人材を適切に受け入れていない企業への監督強化が進められる予定です。技能実習制度では、賃金未払い・長時間労働・不当な私生活制限などが社会問題化しており、制度全体への信頼低下につながっていました。そのため、新制度では問題企業を早期に把握し、是正や排除を進めやすい仕組みづくりが検討されています。
具体的には、監理支援機関による定期確認や相談体制の強化、行政機関との情報共有強化などが進められる見込みです。また、重大な法令違反が確認された場合には、受入停止や改善命令など、より厳しい対応が行われる可能性もあります。今後は、透明性の高い受入運用を継続できる企業ほど、安定した外国人採用を行いやすくなるでしょう。

育成就労制度と特定技能制度の関係
育成就労制度は、単独で完結する仕組みではなく、「特定技能制度への移行」を前提として設計されている点が大きな特徴です。従来の技能実習制度では、実習終了後に帰国する流れが基本でしたが、育成就労制度では、育成期間を通じて特定技能1号水準の技能や日本語能力を身につけ、中長期的な就労につなげる方向へ見直されています。具体的には、技能評価試験や日本語試験へ合格することで、特定技能1号への移行が可能になる想定です。特定技能1号への移行時には、日本語能力試験N4相当レベルなどが求められる方向で制度設計が進められています。
また、育成就労制度と特定技能制度は、対象分野や業務区分も原則として連動する方向で制度設計が進められています。そのため、受入企業には「育成して終わり」ではなく、特定技能への移行後まで見据えた教育体制や定着支援が求められるでしょう。今後は、外国人材を中長期的に育成・確保する視点が、これまで以上に重要になると考えられています。
受入企業が今から準備すべきこと
育成就労制度への移行に伴い、受入企業には教育体制や労務管理、採用戦略など幅広い見直しが求められます。制度変更へ対応するためには、外国人材が安心して働き続けられる環境整備を進めることが重要です。ここでは、受入企業が今から準備すべきポイントについて解説します。
外国人材の教育・支援体制を見直す
育成就労制度では、外国人材を中長期的に育成する考え方が重視されるため、企業側にも計画的な教育体制の整備が求められます。従来のように「現場で作業を覚えてもらうだけ」の対応ではなく、技能習得やキャリア形成まで見据えた支援が必要になるでしょう。
例えば、作業手順書の多言語化や教育担当者の配置、定期面談の実施などは重要な取り組みです。また、生活面の相談対応や地域生活サポートを行うことで、外国人材が安心して働きやすくなる効果も期待できます。今後は、教育と定着支援を一体で進められる企業ほど、人材確保で優位性を持ちやすくなると考えられます。
日本語学習支援の仕組みを整備する
育成就労制度では、日本語能力要件の強化が予定されており、特定技能1号への移行でも日本語試験への対応が重要になります。そのため、受入企業には、外国人材が継続的に日本語を学べる環境整備が求められるでしょう。例えば、オンライン学習ツールの導入や日本語教室との連携、日本人従業員との交流機会の創出などが主な対策として挙げられます。
また、現場で使う専門用語や安全指示を理解できるようになれば、業務効率の向上や労災防止にもつながります。特に、建設業や製造業では、言語理解不足によるミスや事故リスクが発生しやすく、実務に直結した日本語教育が欠かせません。今後は、日本語教育を単なる福利厚生ではなく、人材定着や安全管理を支える取り組みとして捉える企業が増えていくでしょう。
転籍を防ぐ労働環境改善が重要になる
育成就労制度では、一定条件を満たした場合に、本人意向による転籍(転職)が認められる予定です。そのため、受入企業には「採用できるか」だけでなく、「長く働き続けてもらえるか」という視点がこれまで以上に求められるでしょう。特に、給与水準や残業管理、人間関係、寮環境、休日取得状況などは、転籍理由につながりやすい要素です。
今後は、他社と比較されることを前提に、働きやすい職場環境を整備する必要があります。また、キャリアパスや昇給制度を明確にし、「この会社で長く働く価値」を伝えることも重要になるでしょう。外国人材から選ばれる企業になるには、単に賃金を上げるだけでなく、安心して働ける環境や成長を実感できる体制を整えられるかが大きな鍵になります。
法令遵守や労務管理体制を強化する
育成就労制度では、外国人材保護を重視した制度運用へ変わるため、企業側にも適切な労務管理体制の構築が求められます。特に、労働時間管理や賃金支払い、社会保険加入などは、これまで以上に厳しく確認される可能性があります。
また、ハラスメント防止や相談窓口整備、在留期限管理なども重要な管理項目です。中小企業では、現場担当者へ運用を任せきりにしているケースもありますが、今後は人事・総務部門を含めた全社的な管理体制づくりが必要になるでしょう。制度変更後は、法令遵守を徹底できる企業ほど、継続的な受入許可を得やすくなると考えられます。
特定技能を含めた採用戦略を再構築する
育成就労制度の導入によって、企業側には外国人採用全体を見直す視点が求められるようになります。これまでのように技能実習制度だけへ依存するのではなく、特定技能や高度外国人材なども含め、自社に合った採用方法を整理することが重要です。
例えば、即戦力採用は特定技能、長期育成は育成就労という形で制度を使い分ける考え方も広がる可能性があります。また、登録支援機関や人材紹介会社との連携体制を見直し、採用後の定着支援まで含めて設計する企業も増えていくでしょう。今後は、制度ごとの特徴を理解しながら、長期視点で人材確保を進める考え方が重要になるはずです。

技能実習制度の新制度を正しく理解して今後の外国人採用に備えよう
技能実習制度は、2027年4月から「育成就労制度」へ移行予定となっており、外国人採用の考え方も大きく変わろうとしています。従来のような「短期的な労働力確保」ではなく、人材育成や定着支援、日本語教育まで含めた中長期的な受入体制が重要になるでしょう。
特に、転籍制度の導入や特定技能1号への移行、日本語要件の強化などは、受入企業へ大きな影響を与える可能性があります。今後は、法令遵守や労務管理を徹底しながら、自社に合った外国人採用戦略を見直すことが重要です。制度変更の情報を早めに把握し、監理支援機関や登録支援機関とも連携しながら、将来を見据えた受入体制を整えていきましょう。
~弊社のサポート内容~
株式会社グローバークスでは、以下のサポートを通じて、特定技能者の受け入れとその後の定着を全面的に支援します。
●書類準備と手続き代行:ビザ申請や労働契約など、必要な手続きを迅速に行います。
●入国後の生活サポート:住宅の手配や生活面でのフォローを行い、特定技能者が日本の環境に早く馴染むようサポートします。
●定期的なフォローアップ:定期的に面談を実施し、特定技能者が安心して働けるようにサポートを続けます。
● 8カ国語対応:日本語、英語、中国語、ベトナム語、シンハラ語(スリランカ)、ビルマ語(ミャンマー)、タガログ語(フィリピン)、インドネシア語で対応いたします。
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